皆さんのマンションでは、管理組合の理事会役員のなり手不足の問題はありませんか?
最近のマンション管理の現場では、役員のなり手不足がどこのマンションでも起こっています。
輪番で役員を選出するマンションでも、
○自身の高齢化、怪我、病気で役員を務められない。
○家族の介護で役員を務められない。
○仕事が多忙で役員を務められない。
○そもそも連絡してもなしのつぶてで、一切、理事会に出てこない方がいる。
○元から賃貸に出していて、役員の順番そのものが回ってこない方がいる。
○独り暮らしをされていたのだが、入院してしまい、実質的にマンションにはいない。
○認知症になられて、役員は務められない。
これらがひとつも当てはまらず、全員公平に役員を務められているマンションはほとんどないのが実態です。
大変不公平だとは思いませんか?
マンションの役員は義務ではありません。役員が義務であるとはどこの法律にも書いてありません。罰則も当然ありません。
仕事を休んで役員会(理事会)に出席しても休業補償があるわけでもありません。
役員会(理事会)を欠席したって罰金があるわけでもありません。
住んでいなくて賃貸に出されている方は、役員の順番そのものが回ってきません。
大変不公平だとは思いませんか?
役員のなり手が不足しているマンションでは、同じ方がずっと役員をされている場合があります。
しかし実はこれが危険。役員同士の馴れ合いから独善的な運営になる危険性があり、長期に渡って同じ方が理事長や監事を務めることにより不正行為の温床になる可能性があります。
先般(2015年11月)、11億円もの着服・横領事件の起きた大規模マンションが報道されていましたが、そのマンションでは16年に渡って同じ方が理事長を務めていたのです。
また,役員不足に対応するため、管理会社を「管理者」に選任し、管理組合の運営を任せてしまっているマンションがありますがこれが最も危険なケースです。
発注者と受注者が同じになるのです。お金の支払いをする人と、お金をもらう人が同じ。これで適正な管理ができると言うのでしょうか?例えて言えば裁判で相手方の弁護士と自分の弁護士が同じ人物と言うことです。これでは公平な裁判は期待できませんね。弁護士の場合は禁じられているので双方の代理をすることはありません。しかしマンション管理の契約では残念ながら禁じられていないのでマンションの管理会社が発注者であるマンション管理組合を代表すること(管理者となること)が出来てしまいます。
ですが、出来るからと行ってマンションの管理組合、区分所有者の皆様にとって良いことであるわけではありません。
マンション管理会社は営利企業ですので自社の利益が上がるように組合運営します。区分所有者の皆さんの利益が優先されることはありません。利益相反行為をしても一切の証拠はマンション管理会社が握っているので実際上、それを立証し責任追求するのは不可能に近いのです。
なぜ多くのマンションでは、役員は輪番制により選ばれることになっているのでしょう?
輪番制は誰が提案しましたか?思い出してください。輪番制を最初に提案したのはマンション管理会社であるケースが圧倒的に多いはずです。
なぜでしょう?
それは輪番制がマンション管理会社にとって最も都合が良いからです。マンション管理会社に対して厳しい考え方を持っている方が役員になる可能性を少しでも排除し、組合活動に積極的ではない方、管理会社に対し厳しい見方をしない方の比率が少しでも多くなるようにするには輪番制が一番いいのです。たまたま当たったから役員をやるだけ、任期が終わればまた元に戻ると考えている方が一人でも多く役員になってくれた方がいいからです。
では、役員のなり手が不足しているマンションはどうすればよいのでしょう?
役員の就任の負担が不公平になってしまっているマンションはどうすれば?
少数の方が役員のポストを独占し、運営状況に疑問のあるマンションは?
管理会社がマンションの管理者になっていて、管理組合運営の手間はかかっていないけど運営の実態(お金の使い方、支払いの基準)が不明瞭な組合は?
大きな会社であっても利益のためには法律違反をする例は毎日のように報道されています。
マンションの役員問題の解決の方法、それは、マンション管理の実務経験豊富な専門家に、マンションの「管理者」(ここで言う「管理者」とは区分所有法と言う法律に定められた、マンションを代表する者のことです。)に就任してもらうことです。
ここから先は、次の方はお読みにならなくても結構です。
○役員就任の不公平のないマンション(住んでいなくとも必ず役員の順番が回る)の方、
○年齢や病気、仕事などで役員は引き受けられないと申し立てられる人がいないマンションの方、
○役員の輪番が回ってきたら、全員必ず理事会に出席されていて、ずっとご欠席される方などいないマンションの方、
○ずっと同じメンバーで役員をされているけれど、それによるリスクはあり得ないとお考えの方、
○他になり手がなくてずっと役員を続けてきているけど、今後もずっと責任を持って役員を続けるので問題ないとお考えの方、
○管理会社を管理者に選任して、全て任せているけれど、その管理会社は絶対に、自社の利益より管理組合の利益を優先していてくれて出入りの業者からキックバックなど取らず自社の委託費も可能な限り低額に設定してくれているとお考えの方、
これらに当てはまらない方は、ぜひ、読み進み下さい。
役員問題の解決のヒント、それは足元にあります。
区分所有のマンションについての法律、「区分所有法」(建物の区分所有等に関する法律)にあるのです。
区分所有法では、マンションのような区分所有建物の管理運営は、総会で「管理者」を選任しこの「管理者」にさせることが出来ると規定されています。この、法律にかかれている原則にたち戻れば良いのです。
法律には、管理組合法人を作る場合を除き,理事会をつくらなければならないとか、理事・監事という役員を選任しなければならない等とはどこにも書かれておりません。(管理組合法人を作るメリットのあるマンションは限られますのでここでは割愛します。ほとんどのマンションは管理組合法人を作る必要性・メリットはありません。)
マンション管理の知識と経験が豊富な専門家に「管理者」に就任させることにより、マンションの「役員問題」は解決します。
さらには、プロの目で管理の状況を見直すことにより、管理会社の仕事の質が向上し、管理委託費の適正化を図ることが出来ます。
管理会社から見た場合,仕事の負担が増え,利益が減る話ですので、管理会社は絶対に専門家を管理者に選任することによる役員問題解決の提案を出さず、逆にそうさせないように仕向けて来ます。輪番制による役員体制で、マンション管理の専門家ではない組合員の方に順番に役員を割り当てて運営する方が、マンション管理会社にとって管理委託費見直しのリスク、いい加減な管理をしていることを見破られるリスクが少なくていいからです。
「管理者」を選任しマンションの管理を行う方式を「管理者管理」「第三者管理」などと呼びます。
この、「管理者管理」「第三者管理」を採用し、マンションの管理組合のために働く専門家が「管理者」に就任することによって、役員問題を解決してゆくのです。
管理者となった専門家がマンション管理組合の代表者となることで、理事会を廃止することが出来るようになります。監事は、管理者を組合員の目で監督するため残すことが望ましいでしょう。しかし、理事会が無くなれば毎月の理事会に出席する必要が無くなりますので、監事の職務としては年度末の会計監査、銀行預金等の残高証明原本確認が主たるものとなり、負担は大きく削減されます。
監事を選ばない場合であっても、決算書類を組合員の皆様に閲覧して頂けるようにし、総会の場で預金の残高証明原本確認を出席した組合員に行っていただくようにすれば問題ありません。
役員の負担が実質的にゼロになるのです。
また、マンション管理の知識とノウハウを持つ専門家が、管理業務の委託先であるマンション管理会社を監督することにより、管理業務の適正化、質の向上と、管理委託費の適正化が図られます。
今までの輪番制による理事会では、マンション管理会社との間に知識やノウハウ、経験に差があり、管理組合側は発注者側でありながら十分な交渉が出来なかった場合が多かったのですが、マンション管理の実務経験豊富な専門家が管理者に就任して管理会社と交渉することになればこれも解決します。
そしてこれらはマンションの資産価値の向上をもたらします。
マンションが日本で誕生してから数十年、いまや多くの方がマンション暮らしをし、また、マンション暮らしの経験をしております。
マンションから戸建てに移られた方々も、高齢化と共に、生活の手間が戸建と比べてかからず、日中は管理員が勤務していて、夜でもインターホンの非常ボタンを押せば警備員がやって来るマンションに戻って来ています。
そこでマンションでの生活経験のある方が気にしているのが役員問題と管理会社の質なのです。
マンションを買おうとするとき、マンションでの生活経験のある多くの方が、役員の輪番はどうなっているか、自分が買った場合、すぐに順番が回ってこないかどうか、確認されています。小さいマンションで直ぐに輪番が回ってくるマンションは敬遠されるのが実態です。
また、管理会社の質、管理体制も気にされています。自分の生活の質、利便性、そして負担する管理費の額に影響することを知っているからです。
このように管理者管理には
という大きなメリットがあるのです。
=デメリットは?=
しかし、
管理者管理にはデメリットもあります。
それは費用がかかること。
専門家に依頼するのですから当たり前と言えば当たり前。
でも皆さん考えて見てください。
お子さんに勉強を教えるのに、もちろんご自身で教えられる方もたくさんおられると思います。
ですが、お仕事や家事がお忙しい方、より専門的な、高度な教育を目指されている方、
お子さんを塾に通わされたり、家庭教師をお付けになったりされているのではありませんか?
ご自身の専門分野なら直接ご教授されることもあるでしょうが、いつもそうとは限りませんよね。
仕事等で多忙な場合や、ご自身の専門分野、得意分野で無いこと等は、その道のプロ、専門家に頼むのは当たり前です。
会社での仕事でも、効率よく事業を進めるには社内で担当わけして分業体制をとるのではないですか?
知識と手間のかかる業務はその道のプロに任せ、自信は仕事に注力したり家族との大切な時間を確保されたりするのは当たり前のことです。
マンションの管理運営も同じことです。プロに任せて皆さんはお仕事やプライベートを充実された方が、より幸せで価値的はないでしょうか。
費用がかかると言っても,1部屋あたりに直してみれば,月額2,000円~3000円程度の範囲で済むものと思います。(世帯数が多いマンションであればもっと安くなるのは当然です。)
お子さんの塾代と比べたら十分安いですよね。
2016年3月に、それまで国土交通省が識者を集めて討議していた,「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」の議論を踏まえた「マンション標準管理規約 改定案」が発表されました。
このマンション標準管理規約改定版では、「専門家による管理者管理」を行うことが出来る規定が定められています。
今までマンション管理業者が押し進めてきたそのマンションに居住している組合員による理事会での組合運営ではなく、元々、法律に規定されていた管理者による管理の道が国土交通省の標準版にやっと記載されるようになったのです。
これは、国土交通省が主催した「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」において、弁護士等の識者が、「管理者管理の道が開かれないのは組合運営のあり方として不十分である!」 と声をあげたことによるものです。いまや、時代の流れとしても外部専門家による管理者管理により、役員の負担を軽減し管理会社を専門家が監督する道が選択肢のひとつとして明らかになってきたのです。
マンションの役員問題でお悩みの方,
色々な事情で役員に就任出来ない方
仕事が多忙で,役員を行う時間も仕事のために費やしたい方
役員負担の不公平は許されないとお考えの方
そして輪番で次回に役員の順番が回ってくる予定の方。
わからなければ今までの総会議案書,議事録を確認するか,管理会社の担当者に聞いてみて下さい。
行動を起こすべきです!
まず、理事会宛てに(決して管理会社宛ではありません。できれば理事長直接に。途中で管理会社担当者につぶされずに済みます。)
○事情があって役員に就任出来ないこと
○そして,役員問題の解決として「専門家による管理者管理」を検討して欲しいこと
書面を出すか,直接理事会に出席して,訴えてください。
そして、必ず、「専門家による管理者管理」を総会で議案として上げて頂くようにしてください。直ぐには議案として上げられないとのことでしたら,せめて全組合員にアンケートを行ってもらってください。アンケートで多数意見が導入に賛成でしたら理事会も総会に議案として上げて頂けるでしょう。
管理組合の運営は多数決です。そして,総会の議案に上げて承認を得なければ何事も正式に決定しません。総会で否決となったのなら致し方ありませんが,まずは総会に議案として上げなければなにも始まらないのです。
今、現に役員を務められている方、
○全員が理事会に参加されていましたか?
○連絡の取れない方,全く出席されない方は居ませんでしたか?
○賃貸に出していて外部に住んでいる方には役員の順番が回ってこないなんて不公平とは思いませんでしたか?
役員問題がマンションにあるにも拘わらず,それに目をつぶって任期を終えるつもりですか。
「専門家による管理者管理」を検討してください。最低でも全組合員にアンケートを取って見るべきです。
議案文章やアンケートの内容は決して管理会社任せにしないでください。議案が廃案になるように作成してきます。管理会社の担当者は管理会社に忠誠を誓っているのです。組合に忠誠を誓っているわけではないのです。それは当たり前のことですので,それで管理会社の担当者を責めないでください。
まずは勇気を持って第一歩を踏み出してください。
ここまで読んで下さった皆様
ありがとうございます。
司法書士・行政書士・マンション管理士の「金澤義則」です。
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「専門家による管理者管理」をご検討されたい方,よろしければ遠慮なくお問い合わせください。